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平成最後の年頭に思うこと

子供が公衆電話を掛けられないとの話題がありましたが、時代とともに見かけなくなるものはたくさんあります。体温計がデジタル式になって久しいですが、今の子供たちは水銀式を見たこともないでしょう。

 

気象の世界でもデジタルが主流になりました。その昔の気象観測は百葉箱の中で水銀温度計を目視で測りました。それが昭和50年代から白金抵抗温度計に代わって、百葉箱の代わりにモーターで空気を吸い込む筒の中で測るようになりました。電話回線で1時間に1回その値を東京の気象庁に集め、配信する仕組みがアメダスとして普及しました。アメダス以前の農業気象観測所では、地元の人に委託して1日1回百葉箱の水銀の最高最低温度計を読み取って記録し、10日分をハガキに記入して気象台へ郵送しました。最高気温と最低気温を足して2で割って暫定的に平均気温としていました。今では1時間どころか10分単位の過去の気温を、気象庁のホームページでダウンロードすることができます。

 

雨の時に威力を発揮するレーダー観測も大きく変わりました。これも昭和50年代の初めまでは手作業の観測でした。薄暗い部屋の中で丸いブラウン管の中をレーダービームが回転し、観測者は雨雲の白い残像の形を瞬時に把握して、透明シートを当ててダーマトグラフという紙巻のねっちりした赤鉛筆で書き写します。レーダーの電波は山や建物にぶつかっても反射するので、山などのいつも反射する場所が頭に入っていて、瞬時にその部分を除いて絵にします。アナログの典型のような作業です。地形からの反射はグランドクラッターと言って、現在ではデジタル情報からプログラム処理で除去されています。

 

気象庁のホームページには、アメダスやレーダー、気象衛星などの多くの観測データや、スーパーコンピュータが計算する予測情報で溢れています。20~30年前には気象台でも手に入らなかった情報が、手のひらの上のスマホで誰もが見ることができます。

 

しかし、情報は進歩しても気象災害は減ることがありません。予想される気象からどのような自然災害が起きるのか、それを避けるには何をすべきなのか、想像力が欠如しているのでしょうか。情報を見て理解する力(防災情報リテラシー)が必要ですし、どう行動するかの判断能力も必要です。これらを防災力と呼ぶと思いますが、その第一歩は自分の住んでいる地域で、どの様な災害が発生するかを想像することから始まると考えます。技術の進歩と人間の調和はあらゆる分野の追求テーマです。

 

弊社は雨量・河川水位の観測や流量観測という、一番下支えの仕事を生業としています。航空気象の分野でも観測データを日々作成し、世界へ送り出しています。自然を測るためには、原理や仕組みを知る必要があります。基礎を知って背伸びをすることを社是として、社会の安全・安心のために少しでも貢献できればと思います。

 

平成31年(2019年)1月  松岡直基

 

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